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自然環境教育

畑(ハ)ッター農場 活動内容  基本理念  「教育」は運命を変える

1)自然環境教育

「自然との共存」・循環型農業

 ① 農薬・化学肥料不使用による米作り

 ②「お帰りトキ」里山づくり

 ③ 農業体験 田植え・稲刈り体験

 退職後、両親の容態も思わしくなかったため、地元に帰って介護と農業に従事しようと思い、人作りから米作りへと転職しました。一年目は農業の経験もないことから今まで通りの慣行農業の手順で実施しました。化学肥料を投入し、田を起こし、水を張って代掻きをし、田植えをしました。すぐに除草剤を撒いて草対策をし、稲刈りシーズンまで田の草取りはせずに済みました。また、夏はカメムシ防除の農薬を撒き、お陰で稲刈り前には綺麗な稲穂の「金の絨毯」が出来、稲刈りもスムーズに進み、多くの米が収穫出来ました。

 しかし、残念な事に幼い頃に見ていた自然はそこにはなかったのです。ドジョウやタニシや小魚、ましてやザリガニすら姿を消していました。静まりかえった田圃には生き物が姿を消していたのです。豊かだった土壌は痩せこけた土へと変わり、昆虫や鳥もそこにはいませんでした。自然と闘わなければならないと頑張ってきたことが間違っていたと思いました。自然と共存することが自分たちを守る事に繋がることを教えられました。

 二年目は無謀にも全田圃(三兆七反)を化学肥料と農薬を一切使わず取り組んでみました。春、稲刈り後の藁をすき込み有機肥料を散布し、農薬は一切使わず一年間実施しました。また、肩の鍵盤断裂の手術をした後だったため、田の草取りも出来ず、草刈りすら思うように進まず、半年が過ぎました。収穫時には綺麗な田圃ではなく、草だらけの目も当てられない田圃になりました。稲刈りは草が邪魔をして時間がかかり、草で栄養を奪われた稲には少量の穂しか付かず、収穫が激減しました。

 しかし、生物が蘇って来たのです。田圃にはドジョウやタニシやヤゴが蘇り、小魚やタナゴ、フナの稚魚なども採れるようになりました。また、節足動物のザリガニやエビが増え、イナゴやカマキリなどの昆虫も増えて、それを捕食するカラスやシジュウカラや鷺やトンビなどの鳥類が集まってきました。狸の親子までザリガニを求めて現れました。鳥の鳴き声や昆虫の飛ぶ音や動物の鳴き声で田圃は賑やかになりました。

 稲刈りが終了した後には多くの有機物が残っていました。鳥たちの糞の後や生き物の死骸が残っており、次年度の肥料として土を豊かにしてくれました。

 三年目は震災で被災した親戚が茎ワカメを提供してくれることになり、漁港の方々からも協力いただいて大量の茎ワカメを有機肥料として使うことが出来ました。

初めての試みから塩害や生のワカメを使用することから多くの問題をクリヤーしなければならない中で何とか使用できることが出来ました。

 やっと「安全・安心・健康」をテーマに米作りが開始することが出来、農薬・化学肥料不使用栽培に挑戦することが出来ました。その結果、多くの難関を突破することが出来、有機栽培米、無農薬米、尚且つ一等米が完成致しました。

 このような取り組みは、自然を相手にする農業は容易なものではありませんでした。また、植物を育てる事の難しさを痛感致しました。人を育てる事と米を育てる事に共通点が多く、言葉を発しない植物の場合はより「先見の明」が大切で、準備の重要性を学びました。また、これまで津波、洪水、土砂崩れと水難に悩まされてきた私ですが、水の恩恵を受け、自然との共存の大切さを学びました。